学び/越境体験

複業(副業)可能な会社が増えている理由
はたらく人・会社のメリットとパーソルキャリアの制度を紹介

昨今、働き方改革により多様なはたらき方が認められるようになったことで、副業を希望する、実施している人の数も増えている。パーソルキャリアが運営する、doda「ホンネの転職白書」副業の実態調査※(2022年8月実施)によると、「あなたは今、副業をしていますか」という質問に対し、「している」と答えた人が前回(2021年8月実施)より0.2pt増え8.2%、「検討中」と答えた人も前回より0.6pt増え18.4%だった。一方、「していない」と答えた人が前回より0.8pt減少し73.4%となった。前回調査時に比べて、実際に副業をしている、または検討中の割合が増えていることから、副業への興味や関心がやや高くなった様子がうかがえる。 

本記事では、上記以外にも副業可能な会社が増えている理由と、副業することによってはたらく人・会社が得られるメリット、そしてパーソルキャリアでの副業(複業)の取り組みを紹介する。

副業可能な会社が増えている理由

副業が可能かどうかは会社の規定による。多くの会社が副業を禁止してきた背景には、「本業に支障をきたす可能性がある」「機密情報が漏れる可能性が高くなる」「競業により会社の利益を害する場合がある」などが挙げられる。

しかし、労働人口の減少やはたらき方の多様性が重視されはじめたことを受けて、厚生労働省が2018年にモデル就業規則を改定。はたらく側の需要の高まりもあり、モデル就業規則には「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という一文を追加。また2020年以降は、新型コロナの影響で通勤時間が減り時間的な余裕が生まれた。これらをきっかけに、副業を解禁する会社が増加している。

副業によって得られる、はたらく人のメリット

厚労省が提示する副業・兼業の促進に関するガイドラインでは次のように、はたらく人にとっての副業のメリットを述べている。

  • 離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる
  • 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる
  • 所得が増加する
  • 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる

はたらく人にとっては「本業を軸足に所得を増やせる」というのが大きなメリットだろう。
また、副業によって本業では身につけられないスキルや経験が得られれば、キャリアの選択肢が広がる。スキルや経験値を高めて人材的価値を上げ、最小限のリスクで転職・起業に挑むことも可能だ。

副業制度導入によって会社が得られるメリット

同じく副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、会社が副業を解禁することで、次のようなメリットを得られるとしている。

  • 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる
  • 労働者の自律性・自主性を促すことができる
  • 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する
  • 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる

副業解禁は一見、はたらく人にとってのメリットが大きいように思われるが、会社にとっても大きなメリットになる。
副業で得たスキルや知識、人脈を本業に活かすことができれば、会社にとってもプラス。さらに副業は、自律性・自主性の向上にも役立つ。自らの意思でキャリアを形成する意思が育まれるので、キャリアオーナーシップを育む環境の醸成となる。

パーソルキャリアが推進している「複業制度」とは

パーソルキャリアは、社員の自己実現や経験・価値観・スキルの社会還元などを目的に、2019年4月から「副業(※パーソルキャリア内の表記は「複業」)制度」を導入している。複業制度の利用は承認制となっており、開始当初の利用者は30人程度、2023年3月現在では約330人が複業の届け出を出しており、右肩上がりで申請数が増加している。

複業(副業)制度導入の背景

パーソルキャリアが複業(副業)制度を導入した背景には、社員に対する次の3つの思いがある。

  • 1.自己成長を応援したい
  • 2.グループで得た経験・価値観・スキルを社会に還元してほしい
  • 3.複業(副業)で得た経験・価値観・スキルをグループにも還元してほしい

パーソルキャリアでは、自社を含む複数の場所ではたらくことで、精神的にもスキル・知識的にも成長の機会を増やせると考えている。本業・副業を通して得た自身の能力を社内外で発揮してもらうことで、自分自身のキャリアに良い影響をもたらすことはもちろん、地域・社会貢献につながるとして、複業制度を導入している。

承認制である理由

パーソルキャリアの複業制度を利用するには承認が必要だ。承認が必要な理由は次のとおり。

  • グループでの業務に影響を及ぼさないか
  • グループの事業に利益相反の懸念される職務でないか
  • 健康管理や就業条件(労働時間等)の観点で懸念がないか

パーソルキャリアが複業制度に期待するのはシナジー効果だ。本業と副業はもちろん、自身と地域・社会、それぞれに良い影響を及ぼすことを期待している。そのため、本業がおろそかになる副業は基本的に認められない。
 
また、複業制度はあくまで社員の心身の健康や幸福度を高めるために設けられている。社員の体調を損なうはたらき方は認めていない。複業で労働時間が長くなったことにより体調を崩しては本末転倒である。
パーソルキャリアと社員、双方がWin-Winでなければならない、ということが承認制を導入している大きな理由だ。

過去に申請された副業先例

複業制度では、現在までに次のような副業先の申請が行われている。

  • コーチング
  • キャリアカウンセリング
  • 就職セミナー講師
  • 学校法人でのキャリア教育
  • ライター(記事執筆)
  • 広報

上記はあくまで一例だ。パーソルキャリアでの経験を活かした副業や、興味のある分野など、さまざまな副業先の申請が行われている。

複業を経験した社員の声

実際に複業を経験した社員はどう感じているのか。パーソルキャリアで企画職に取り組みながら、複業でライティングを請け負っている社員の声と、複業制度を管轄する人事マネジメント統括の考えは、こちらでも読むことができる。

一人ひとりが「はたらく」を自分のものにしていくために

人生100年時代。雇用の安定が揺らぐなかで、複数スキルの習得やさまざまな会社での経験は、自らの適性と可能性を見つめ直す良い機会ともなる。ライフステージや、自分の意思により柔軟に「はたらく人生」をとらえ、キャリアを築いていく時代だからこそ、パーソルキャリアは自社内にとどまらない制度設計をし、キャリアオーナーシップを推進していく。

編集:パーソルキャリア広報部 

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