学び/越境体験

地元・熊本の企業を支える採用代行営業と
兼務で目指す「3Win」とは

本連載は、自分の可能性を信じて自らキャリアを切り開く「キャリアオーナーシップ」を発揮した社員の取り組みを紹介。人それぞれ異なる価値観やライフステージの変化などにより多様化するはたらき方のなかで、そのときどうアクションしたのか。はたらく社員の奮闘ぶりをお届けします。

津田 桂佑
2018年入社
エージェント事業本部 エージェント事業部
エリア統括部 西日本エリア部 RA九州MAグループ RA
兼 採用支援統括部 ソリューション開発部 RPOグループ

2018年に新卒入社した津田桂佑は、自身が生まれ育った熊本のRA(リクルーティングアドバイザー/企業営業)として多忙な中で、RPO(採用代行)グループの兼務に名乗りをあげた。それが、津田が仕事をするときに心がけている「3Win」―企業と転職希望者、そしてパーソルキャリアがよりよい結果になる―につながったという。今回、兼務に手を挙げたきっかけや、兼務を経験し得られたこと、そして3winについて話を聞いた。

兼務のきっかけは「おせっかいな性分からの価値貢献」

「昔から自分が価値貢献できることは何でもやりたいという『おせっかい』のような性分がある」と話す津田。

「決まった商品を売るのでなく、企業の現状の課題をきちんと捉えた上で提案したい」との考えから無形商材の営業を志望し、パーソルキャリアに入社。西日本エリア部のRAとして福岡に配属され、2019年から自身が生まれ育った熊本の専任となった。

津田: 熊本の転職支援を担当するRAは私ひとりだったため、周囲から自分がどう見られるかを気にすることなく、個人と企業とのマッチングに注力でき、経験を積むことができました。これらの経験を通じて、熊本の転職市場をどう活性化するかの視点も持てるようになりました。

津田が経験を積み、少し自信がついてきたころ、兼務のきっかけが訪れた。新卒時代から担当していた企業から「採用枠を増やしたい。採用代行(RPO)も検討している」と相談を受けたことだった。

津田: 純粋に、この企業の採用代行を「自分がやりたい!」と思いました。RPOとは企業側から採用業務を委託されることをいいます。例えば、求人サイトや求人雑誌、エージェントなど、さまざまな採用チャネルの中から最適なものを選択、活用、拡大するための検討を支援したり、実行にまつわる業務を行います。つまり、企業の人事担当者と一緒に、採用に向けてチームとなって伴走する役割です。企業に寄り添い、深く関わる機会が増えるため、自分にとって業務の幅を広げることができるチャンスだと感じまし。

「おせっかい」の性分を存分に発揮する形で、津田は自分らしいはたらきかたとして、RAとRPOの兼務を決断した。

認識のズレから気づいた企業の視点

2022年5月から津田の兼務が始まった。RAの業務は、一部をチームメンバーに引き継ぐなど周囲の協力を得ながら調整し、RPOの立ち上げを進めた。時間に追われ仕事に打ち込む中で、津田は企業と転職エージェントの間に生じている課題に気づいた。

津田: 募集要件の過去実績を確認していたときでした。以前、その企業では欠員補充のみを行っており、スキルの高い人を見極めて採用する傾向にありました。しかし、直近の募集ではまとまった人数を採用するために募集要件を緩和していたのですが、そのことを採用代行する私も含め人材紹介側も把握しておらず、企業はスキルの高い人を採用したいのではと思いこんでいました。
これにより、紹介する側と紹介される企業の間で、採用人物像に認識のズレが生じていたのです。

このズレを放置すれば採用のミスマッチを招き、結果企業側も転職希望者にも良い結果は生まない。そう考えた津田は、立ち上げまでの短時間の中で企業側の意識の変化やニーズを徹底的にヒアリングし、その内容をエージェントに伝えて認識をすり合わせ、募集要件をチューニングすることに力を注いだ。

この経験から、これまでの採用活動の経緯をていねいにヒアリングした上で、現状の課題を正しく抽出し、「企業の視点」から提案することの重要性を痛感したという津田。

そして、RPO、RAとしてもこれまで以上に企業理解を深め続けたところ、次第に企業との関係性にも変化が生じた。

津田: RAを担当している企業からは、これまで採用活動をする段階でのご相談が多かったのですが、採用方針を決めたり組織編成したりする際にご相談いただく機会が増えました。また、採用活動に関する人事の業務範囲を知ることで、企業側の業務効率化も含めた話ができるようになりました。

また、採用支援全体を俯瞰する「マクロ」、企業や人事の目線という「ミクロ」と、双方の視点を得られたことで、これまで以上に企業の採用課題が見えるようになったという。

津田: RPOは、競合他社のエージェントの動向や課題を把握し、全体像を見ながら今後の戦略を考える必要があります。また、担当する企業と同じ業界の企業がどのような事業展開をしているのかを分析することも仕事の一つ。これらの経験から、物事を多角的かつフラットに見られるようになりました。RAとしても、企業からの募集要件をそのまま受けるのではなく、視野を広げてより適切に認識し、紹介できるようになったと感じています。

企業と転職希望者、そしてパーソルキャリアの「3Win」が仕事の軸に

津田が仕事を通じて価値貢献する上で心がけているのは、「3Win」だ。企業と転職希望者、そしてパーソルキャリアにとって、よりよい結果になることだという。

ただ採用が決まるだけでは、3Winにはならない。津田が思う3Winは、採用された個人に長くはたらき続けてもらうことで初めて成立する。

特に、津田が担当する熊本では、1企業に対し応募者が1人というケースも少なくない。だからこそ企業が決断すればすぐに採用が決定するが、あえて積極的に働きかけることはしないという。それは3Winを実現したいからだ。

津田: さまざまな規模や業界の企業とお付き合いをする中で、1人採用するだけでも企業・組織に与える影響の大きさを感じています。
以前は転職希望者の『早く決めたい』という思いをくんで、多少の懸念点を感じていても採用決定を優先したい気持ちになることもありました。しかし、それは採用のミスマッチにつながる可能性があり、企業、転職希望者、そしてパーソルキャリアにとってもよい結果につながりにくい。
今は、企業、転職希望者双方にとって最善となるよう、自分の意見を率直に伝えるようにしています。

その結果、企業からは、「いい人を紹介してくれてありがとう」と言われる機会も増えてきた。津田は今の兼務の状況を、「企業やエージェントとのやりとりを通して、より3Winを意識した本質的な採用支援ができるようになった。難易度は高いけど、その分やりがいもあって楽しい」と話す。

現在、組織内でRAとRPOの兼務をしているのは津田のみであり、兼務について周囲のメンバーから聞かれる機会も多い。また、九州エリアの他の企業からも、直接相談を受ける機会も増えてきたという。

津田: 以前担当した企業から「中途採用について悩んでいるので、津田さんに聞きたい」と相談されることも増えてきました。採用業務を一緒に作り上げる「人事チームの一人」として、RAとRPOの兼務によって企業に根差した課題解決型の営業ができるようになったことを実感しています

企業と深く関わる中で、「やりたいこと」が次々と湧き上がるという津田に、今後の目標を聞いた。

津田: 今は九州エリアに限定した活動ですが、今後は支援の範囲を企業のグループ全体まで広げることが目標です。ゆくゆくは、企業ブランディングにも携わりたいと思っています

「3Win」を軸に自分らしい方法で企業と向き合いながら、やりたいことの選択肢を増やしていく。それは、津田自身だけでなく、企業や転職希望者とともにキャリアオーナーシップを育む環境を作っていくことにつながるだろう。

※掲載している内容・社員の所属は取材当時のものです。

編集:藤田佳奈美、パーソルキャリア広報部 ライター:畑菜穂子 (制作:プレパラート)

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